mints magazeine 長門芳郎のマジカルコネクション  

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#030 2008_3月号
(1)チャド&ジェレミー
/ビフォー・アンド・アフター
<紙ジャケット限定盤>
ソニー SICP-1691
2008/02/20発売
(2)チャド&ジェレミー
/アイ・ドント・ウォナ・ルーズ・ユー・ベイビー
<紙ジャケット限定盤>
ソニー SICP-1692
2008/02/20発売
(3)チャド&ジェレミー
/遠い渚
<紙ジャケット限定盤>
ソニー SICP-1693
2008/02/20発売
(4)チャド&ジェレミー
/キャベツと王様
<紙ジャケット限定盤>
ソニー MHCP-978
(5)チャド&ジェレミー
/ノアの方舟
<紙ジャケット限定盤>
ソニー MHCP-979
(6)スーザン・カーター
/ワンダフル・アドヴェンチャー
<紙ジャケット限定盤>
ソニー EICP-921
2008/02/20発売
(7)ロリー・ブロック
/ロリー・ブロック
<紙ジャケット限定盤>
BMGジャパン BVCM-35254


 60年代半ば、ブリティッシュ・インヴェージョン華やかりし頃、人気のあった男性デュオというと、「愛なき世界」や「つのる想い」をヒットさせたピーターとゴードンがよく知られているところだが、私が好きだったのは、同じイギリス出身のデュオでも本国よりアメリカで人気の高かったチャド&ジェレミーの方。「そよ風のキッス(サマー・ソング)」が全米ヒットし、FENから流れてきた時は、そのアコースティックなギター・サウンドと爽やかなハーモニーに一瞬にして心奪われたものだ。イギリスで不発だった「そよ風のキッス」や「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」が全米チャート上位にランクされるヒットになったことから、彼らは活動の拠点をアメリカに移し、1965年には、それまでのワールド・アーティスツを離れ、メジャーなCBSコロムビアと契約、黒人コンポーザー&アレンジャー、ヴァン・マッコイの作品「ビフォー・アンド・アフター」、「別れたくないさ」、後のバッキンガムズ、シカゴを売り出すジェイムズ・ウィリアム・ガルシオ作の「浜辺のシルエット」などをヒットさせ、全米の人気スターとなる。今回、ソニーの紙ジャケ・シリーズ「ソフト・ロック+シンガー・ソングライター/名盤の旅」では、上記ヒット曲を含むCBS時代の3枚のアルバム『BEFORE AND AFTER』(1965年)(1)、『I DON'T WANT TO LOSE YOU BABY』(1965年)(2)、『DISTANT SHORES』(1966年)(3)が登場する。いずれも未発表曲、シングル・ヴァージョン、フランス語ヴァージョン、イタリア語によるサンレモ入賞曲などのボーナス・トラックが追加収録されている。以前、リリースされたゲイリー・アッシャー制作の2枚 『OF CABBAGES AND KING (キャベツと王様)』(1967年)(4)と 『THE ARK (ノアの箱舟)』(1968年)(5)を合わせるとCBS時代の全アルバムが紙ジャケ化されたことになる。
 YouTubeなどで、近年(2006年〜2007年)のチャド&ジェレミーのライヴ映像を観たが、「そよ風のキッス」や「浜辺のシルエット」など、往年のヒット曲をアコースティック・ギターを弾きながら、歌う姿に胸が熱くなった。演奏もハーモニーも素晴らしく、60年代よりいいのではと思うほど。

 さて、がらりと傾向が変わるが、期せずして、ブラッド・スウェット&ティアーズのメンバーが制作に関わった70年代の女性シンガーのアルバムが2作品、相次いで、世界初CD化、しかも紙ジャケットでリリースされるので、紹介しておこう。「ソフト・ロック+シンガー・ソングライター/名盤の旅」シリーズの1枚、スーザン・カーターのアルバム『WONDERFUL DEEDS AND ADVENTURES』(CBSソニー)(6)と「ジャケガイノススメ」シリーズの1枚、ロリー・ブロックの『RORY BLOCK』(BMGジャパン)(7)がそれだ。前者は、スーザン・カーター唯一のアルバムで、B.S.&T.のディック・ハリガン(トロンボーン/キーボード)がアレンジを手がけ、ジム・フィールダー、ランディ・ブレッカーらが参加している。1970年に発表されたこのアルバムは、ローラ・ニーロの「ビリーズ・ブルース」、「ロンリー・ウーマン」、ビリー・ホリデイの「レディ・シングス・ザ・ブルース」のほか、バッファロー・スプリングフィールド、ジェイムズ・テイラー、ランディ・ニューマンなどカヴァー中心の内容。明らかにローラ・ニーロを意識した歌唱スタイルと雰囲気を持つ彼女、ローラ・ニーロの友人ということらしいのだが、何者なのかバックグラウンドは不明。ローラ・ニーロの元恋人で、バッファロー・スプリングフィールド〜BS&Tのジム・フィールダーがベースを弾いているというのも興味深い。しかも「ブルーバード」だし。もう1枚のロリー・ブロックのアルバムは、1975年にリリースされたデビュー作で、プロデュースをブルース・プロジェクト〜B.S.&T.〜アメリカン・フライヤーのスティーヴ・カッツが手がけ、B.S.&T.のフレッド・リプシャスがオーケストレーションのアレンジを担当。バックには、ライノセロスのダニー・ワイス、マイケル・フォンファラほかが参加。長年に渡り、アメリカのアコースティック・ブルース・シーンを牽引してきた女性ブルース・ギタリスト&シンガーとして知られる彼女だが、ここでは、R&B、ゴスペル色濃いブルーアイド・ソウル・シンガーといった趣き。全曲、ロリー作のオリジナルで、R&Bフレイヴァーあふれる作風とブルーアイド・ソウルな歌声は、ヴァレリー・カーターを連想させたりもする。アルバム・ラストのローラ・ニーロを想わせるソウル・バラード「アイ・メイド・イット・オール・バイ・マイセルフ」1曲だけでも「買い」だ。



【長門芳郎プロフィール】

70年代初期から後期にかけ、シュガー・ベイブ(山下達郎/大貫妙子ほか)、ティン・パン・アレー(細野晴臣/鈴木茂/林立夫)のマネージャーとして、コンサート/レコード制作に携わる。70年代末〜80年代末には、南青山の輸入レコード店パイド・パイパー・ハウスの店長/オーナーを続けながら、ピチカート・ファイヴのマネージメント、海外アーティストのコンサートをプロデュース。ヴァン・ダイク・パークス、ドクター・ジョン、リチャード・トンプソン、フィービ・スノウ、ダン・ヒックス、ジョン・サイモン、ローラ・ニーロ、ピーター・ゴールウェイ、NRBQほか多数の初来日ツアーを手がける。80年代末にヴィレッジ・グリーン・レーベル(ポニーキャニオン)をスタートさせ、海外アーティストのレコード制作に携わる。98年からは、ドリームズヴィル・レーベルのレーベル・プロデューサーとして、数多くのアルバム制作を行なっている。以上の仕事の傍ら、70年代から現在まで、数多くの洋楽アルバム/CDのリイシュー企画監修、アート・ディレクションを行い、その総数は700タイトル以上。現在音楽番組「ようこそ夢街名曲堂へ!」にレギュラー出演中。





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