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#001 2005_10月号
FEN(米駐留軍向け極東放送)から、その曲「HELLO HELLO」が流れてきた時、ラヴィン・スプーンフルの新曲か?と思ったほど、「デイドリーム」や「ラヴィン・ユー」にも通じるグッタイミーなサウンドに一瞬にして心奪われたもの。それもそのはず、「ハロー・ハロー」(1966年、全米26位)をヒットさせたSOPWITH CAMEL(ソッピーズ・キャメル)は、スプーンフルの育ての親エリック・ジェイコブセンによってプロデュースされ、 スプーンフルと同じカマストラ・レーベルからデビュー、第2のスプーンフルとして、巧妙に売り出されたバンドだった。 ミニ・ラヴィン・スプーンフルと呼ばれてもいた彼ら、結成されたのは、サンフランシスコだったが、レコード・デビューにさきがけ、無名時代のスプーンフルやディラン、キャス・エリオットたちが利用したニューヨークのアルバート・ホテルで合宿生活をしながら、曲作りやリハーサルを続け、スプーンフルを生んだことで有名なグリニッジ・ヴィレッジのナイト・アウル・カフェに出演。いくつかのコンサートでは、スプーンフルの前座を務めてもいるし、マネージャーもスプーンフルを手がけていたボブ・キャヴァロ、レコーディングもスプーンフルと同じベル・サウンド・スタジオで、同じエンジニアによって行なわれるという徹底ぶりだった。
そんなソッピーズ・キャメルのファースト・アルバムが『SOPWITH CAMEL』(1)。オリジナル・リリースは1967年だが、1973年には新装カヴァーで再発されたこともある。今から30数年前、山下達郎と知り合った頃、私のソッピーズ・キャメルを彼に貸し、彼のイノセンスを借り、これをきっかけに意気投合したという、想い出深いアルバムでもある。日本では、13年前に初CD化、2年前にも再CD化されている。1973年のリユニオン・アルバム『The Miraculous Hump Returns From The Moon』(2)は、デビュー・アルバムのスプーンフリッシュなグッドタイミー路線も残しながらもジャジーな雰囲気を漂わせ、アシッドなスティーリー・ダンとも言いたくなるサウンド。これも5年前、元メンバーのノーマン・メイエルの手によって、初CD化されている。1973年12月に青山タワーホールで行なったシュガーベイブのデビュー・コンサートの会場BGMにファーストからの「ハロー・ハロー」とリユニオン作からの「Fazon」を流したこともあった。
ソッピーズ・キャメルのオリジナル・メンバー、ウィリアム・サイエヴァースが1971年にウィリアム・トラッカウェイの名でリリースした唯一のソロ・アルバムが『BREAKAWAY』(3)。 リチャード・グリーン、バディ・エモンズ、チャールス・ロイド、キャメルの仲間たちも参加、キャメル時代に書いた「ウォーク・イン・ザ・パーク」、「サガ・オブ・ロウ・ダウン・レット・ダウン」などを思い起こさせるグッタイミーな作風も健在で、 ジョン・セバスチャン〜ジェイク・ジェイコブズの好きなひとには堪らないアルバム。このアルバムでもソウルフルなコーラスを披露しているのが、ゴスペル三姉妹のストーヴァル・シスターズ。彼女たちは、ノーマン・グリーンバウム1970年のビッグ・ヒット「スピリッツ・イン・ザ・スカイ」の録音にもウィリアム・トラッカウェイと共に参加しており、そのトラッカウェイとエリック・ジェイコブセンのプロデュースにより、制作されたのが、『STOVALL SISTERS』(1971年)(4)。 「スピリット・イン・ザ・スカイ」のゴスペル・カヴァーやサム・クックも在籍したソウル・スターラーズのレパートリー、モータウンありのゴスペル・ルーツの傑作ポップソウル・アルバム。(3)と(4)は、この夏、VIVID SOUNDから紙ジャケットで世界初CD化されたばかり。以上、今回紹介した4作品全て、プロデュースしているのは、エリック・ジェイコブセン。ティム・ハーディン、ラヴィン・スプーンフル、フィフス・アヴェニュー・バンド、ノーマン・グリーンバウムなどを手がけたグッタイム・ミュージックの名プロデューサー。比較的近年では、ロイ・オービソンの再来とも称されたクリス・アイザックを売り出したことでも知られる。彼が主宰していた「SWEET RELIABLE PRODUCTIONS」なるプロダクション名通り、彼のプロデューサー・クレジットがあるアルバムに駄作なしと断言しておこう。
(1)ソッピーズ・キャメル
/ソッピーズ・キャメル
BMGファンハウス
- ASIN: B00007KGDG
(2)SOPWITH CAMEL
/The Miraculous Hump
Returns from the Moon
(SOPWITH CAMEL)CD-8600
<輸入盤>
(3)ウィリアム・トラッカウェイ
/ウィリアム・トラッカウェイ
VIVID RATCD-4251
2005年9月発売
(4)ストーヴァル・シスターズ
/ストーヴァル・シスターズ
VIVID RATCD-4253
2005年9月発売
【長門芳郎プロフィール】
70年代初期から後期にかけ、シュガー・ベイブ(山下達郎/大貫妙子ほか)、ティン・パン・アレー(細野晴臣/鈴木茂/林立夫)のマネージャーとして、コンサート/レコード制作に携わる。70年代末〜80年代末には、南青山の輸入レコード店パイド・パイパー・ハウスの店長/オーナーを続けながら、ピチカート・ファイヴのマネージメント、海外アーティストのコンサートをプロデュース。ヴァン・ダイク・パークス、ドクター・ジョン、リチャード・トンプソン、フィービ・スノウ、ダン・ヒックス、ジョン・サイモン、ローラ・ニーロ、ピーター・ゴールウェイ、NRBQほか多数の初来日ツアーを手がける。80年代末にヴィレッジ・グリーン・レーベル(ポニーキャニオン)をスタートさせ、海外アーティストのレコード制作に携わる。98年からは、ドリームズヴィル・レーベルのレーベル・プロデューサーとして、数多くのアルバム制作を行なっている。以上の仕事の傍ら、70年代から現在まで、数多くの洋楽アルバム/CDのリイシュー企画監修、アート・ディレクションを行い、その総数は700タイトル以上。現在音楽番組「ようこそ夢街名曲堂へ!」にレギュラー出演中。
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