mintsBar 今夜のお客様は「ワールド・スタンダード 鈴木惣一朗さん」です!  

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”今夜のお客様は、ワールド・スタンダード 鈴木惣一朗さんです。“
【鈴木惣一朗 プロフィール】
85年 細野晴臣 主宰のNon-Standardレーベルからアルバム『World Standard』でデビュー。以後Everything Playでの諸作などの発表を重ね、90年代後半には自身が手掛ける『ディスカバー・アメリカ・シリーズ』がヴァン・ダイク・パークス、ジム・ホワイト, 細野晴臣をはじめ国内外で絶賛され国際的な評価を得る。
近年では「World〜」、「RAM」等でのミュージシャン活動と並行して、畠山美由紀、ハナレグミ、湯川潮音、高田漣、今野英昭、つじあやの、ビューティフル・ハミングバードなど、年齢/性別を越えて数多くのアーティスト・プロデュースに辣腕を発揮するとともに、ビートルズ楽曲をララバイアレンジでカヴァーする『りんごの子守唄』シリーズのトータル・プロデュースを手がける。また、ジム・ホワイト、シルヴァン・ヴァノ、ヴィクセル・ガーランドなど海外のミュージシャンとのコラボレーションも積極的に行っている。
更に“モンド・ミュージック”を仕掛けたブレーンとして、あるいは「ひとり」、「モンドくん日記」といった著作を持つユニークな文筆家としても、その才能は高く評価されている。

公式サイト「QUIETONE.NET」 http://www.quietone.net/
除川: いらっしゃいませ。mints Barへようこそ。
鈴木: どうも、こんばんは。長門さん、除川さん。ここがmints Barかぁ。
長門: いらっしゃい。あれ?初めてだっけ?
鈴木: ええ、噂には聞いていたんですけどね。
除川: 惣一朗さん、お飲み物はいかがいたしますか?
鈴木: ビール!えーと、ギネスを下さい!

長門: いよいよ締切も押し迫ってきたねぇ!
除川: え?何の事ですか?
鈴木: ちょうど今、長門さんと、細野さんのBOX『ハリー細野クラウン・イヤーズ1974-77』の監修をしている最中なんですよ。今なら出してもいいよって細野さん御本人も認めている一番いいタイミングだから、ここぞとばかりに。
長門: その前に好評のプロデュース作、ビートルズ・ララバイ集『りんごの子守唄』が、去年の女性シンガー編:Apple of her eye りんごの子守唄 赤盤に続いて、11/22に男性シンガー編:Apple of his eye りんごの子守唄 青盤が出るんだよね。この企画自体はどこから出てきたの?
鈴木: 一番好きなビートルズをモロに自分のサウンドでやるのは、僕にとって踏み絵と一緒なので、どうかなってずっとしまい込んでいたんですけど、もうそろそろやってみてもいいかなと思い始めていた時に、トリビュート・アルバムじゃなく、子守唄でっていう話をもらってグッときちゃったんですよ。元ジェリーフィッシュのジェイソン・フォークナーが出した『BEDTIMES WITH THE BEATLES』というビートルズ・カヴァー集があって、変にいじらないで、ただ淡々とやっているその感じが大好きで、そんな風にやれるのなら僕にも出来るのかなと。
長門: 人選が鈴木惣一朗ならではだよね。
鈴木: 楚々として中身が濃い人っていう、ひとつのトーンというか響きがある人達とやったんですよ。それがアン・サリーであり、永積タカシでありという人たちで。でも今回は、会ったことのないキャラヴァンとかボノボの蔡君とかも誘って、全く気負いもなく自然な感じでスルスルと人選出来ました。
除川: 今度の青盤では、惣一朗さんご自身が歌うかなと思っていたんですけど。
鈴木: ああ、歌ったんですよ、細野さんがやってくれた、「Goodnight」の仮歌を(笑)。仮歌を多少意識して歌ってくれたので、普段の細野さんの歌い方とは違う、割とナイーヴなテイクがもらえた。企画意図を呑み込んで、寄り添ってくれたんだなあと思って意外だったし、嬉しかった。僕が作ったサウンドで、細野さんがいじらずに歌だけ歌うってことをやりたかったんですよ。そこで「Goodnight」だからリンゴ・スター〜ハリー・ニルソンってことになるんだけど。ウィズ・ストリングスでジェントルマンが歌うっていう、ハリウッドの図式に細野さんを乗せたかったんですよ。
長門: “夜シュミ”だね。
鈴木: そう!ニルソンの『夜のシュミルソン』でございます(笑)。長門さんは、お見通しだよね。
長門: つまりハリー・ホーソンってことだよね(笑)。他のプロデュースも、最近いい仕事続けているんじゃない?ハナレグミ、高田漣、湯川潮音ちゃんにビューティフル・ハミングバードと。
鈴木: ちょっとわかったんですよ、やれる事とやれない事が。で、あんまり無理しないようにしようと。そうすると出会いがあったりして、いい人しか来なくなっちゃったの(笑)。『りんごの子守唄』の2枚で、20人近くとやりましたけど、20枚アルバム作ったのと同じだと自分では思っている。すごく鍛えられたので、もう誰が来ても出来るかなと。前は自分の刻印を残そうとかしていたけれど、その辺はかなりニュートラルになったかな。
長門: 日本のT-ボーン・バーネットだね。
鈴木: (笑)もうちょっとこう、ナイジェル・ゴールドリッチぐらいにはなりたいですよ。もちろん、T-ボーン・バーネットは好きですけど(笑)。

『りんごの子守唄
  apple of her eye(赤盤)』

『りんごの子守唄
  apple of his eye(青盤)』

長門: ところで最初に出会ったのは、やっぱりヴァン・ダイク・パークス繋がりだったかな?
鈴木: 僕は(ピチカート・ファイヴの)小西君と、長門さんに会う時期が一緒くらいで、その時に長門さんにカセット作ってもらったんですよ。ヴァン・ダイクの発売されていない映画音楽みたいのと、トッド・ラングレンのラジオ・ショーのやつ。小西君と二人で、ものすごく喜んだのを憶えています。実はその前からパイド・パイパー・ハウスには行っていたけど、おっかないからレコード買って、すぐ逃げてた(笑)。最初にパイドへ行ったのは18歳の春に上京した次の日、途中メロディー・ハウスに立ち寄りつつ(笑)。とにかくその時はヴァン・ダイクを探していたんです。そしたらパイドに、青いカセットがあったの。
長門: イタリア盤の『ディスカヴァー・アメリカ』だね。
鈴木: 壁に貼ってあって、うわ〜これか!ってむしり取って買ったの。で、ここに来れば、聴きたい音楽があるんだと思った。
長門: エルヴィス・コステロも、それを買っていって、後で自分のエドセル・レーベルから『ディスカヴァー・アメリカ』再発したからね。
鈴木: それからドアが開いて、長門さん始め、色々な人に会えたのは本当にラッキーだったし、日本の音楽家の中で一番会いたかった細野さんにも会えて、細野さんのレーベル(ノン・スタンダード)からデビューしていくから本当に不思議なことですよ。まさにビリーヴ・イン・マジックです(笑)。

長門: (笑)つき合いも長いけど、あらためて惣ちゃんが影響を受けたアルバムを教えて。
鈴木: 5枚に絞り込めなかったんですよ。繋がっているので仕方ない、ってことで。

「 ニーノ・ロータ / 道(オリジナル・サウンドトラック) 」
 - 映像と音楽で気持ちをわしづかみされて身体が震えた -

映画としても好きだし、音楽を聴いて初めて泣いた作品かな。たぶん小4か5でしたよ。ビートルズを聴き始めたぐらいの時に、迂闊にも教育テレビで映画を観たんですよね。芸術に触れて本当に感動した最初の体験。監督のフェデリコ・フェリーニがすごいのもあるけれど、作曲家ニーノ・ロータの音楽、「ジェルソミーナ」という曲に、やられたんだと今は思います。26歳でワールド・スタンダードでデビューして、ニーノ・ロータのカヴァーとかやるんですけど、その時はもう僕は老成していましたからね。こんなものばかり聴いて小津安二郎ばかり観ていたので、相当枯れていた。もう人生の郷愁をやるかぁみたいな(笑)。

「 ビートルズ / ビートルズ(ホワイト・アルバム) 」
 - 僕にとってマスターピース。でも永遠のパズルでもある -

最も解り難いとされていたこのアルバムを、僕は初めて聴いた時に好きになっちゃった。それはアート・フォーム含めてのことなんです。それから白いジャケットのレコードばかり買い集めたりして、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの『フレッシュ』とか(笑)。色がなくて、完成されていないというところが重要。ビーチ・ボーイズの『スマイル』もそうですけど、ビートルズがバラバラになって、素材の様な物がレコード2枚組として集まっている。つまり自分のパズルとして、これを組み立てていけばいいんだと。だから何度も聴ける。このポップ・アートはもうダントツですよ。アンディ・ウォーホールみたいなもので、そういうガジェットっていうかパッケージとして、レコード音楽っていうものをフェティッシュにつかまえていく経験になっていったという意味でも僕の中で『ホワイト・アルバム』は深いところにある。単純にサウンドとしても一番好きですけどね、ミキシングとかアレンジも含めて。

「 サイモン&ガーファンクル / ブックエンド 」
 - アメリカをテーマとする音楽も、ジャケット写真やアート・ワークも良かった -

僕は1959年生まれなので、70年には小4なんですよね。ビートルズはもう解散していて、カーペンターズやサイモン&ガーファンクルなんですよ。ラジオをつけたらキャロル・キングの『つづれおり』やジェイムス・テイラーの『スウィート・ベイビー・ジェイムス』が鳴っているという頃。この作品は、リチャード・アヴェドンが撮ったモノクロ写真の質感が良くて、しかもヴァン・ダイク・パークスとは違うアメリカをテーマにしているんじゃないかというのが、繰り返し聴くうちにだんだん判っていった。で、彼等の中でこれが最高峰だと思ったんですよね。トム&ジェリーっていう名前でデビューして、ジャン&ディーンの物真似フォーク・デュオだった二人が、5〜6年でこんなアルバムを作ったっていうのがすごく大きかった。僕がレコードに夢中になっていく一つの要素、アート・ワークが素晴しかった。

「 荒井由実 / ひこうき雲 」
  - 声高にならない凛とした響きの声と、レコードの匂い -

五輪真弓さんが「少女」って曲で日本のキャロル・キングと言われていたり、ポプコンからは小坂明子さんとか出てきて、ピアノ弾くお姉さんみたいな時代が始まっていく頃、家に『つづれおり』と『ひこうき雲』があって、何となくそれをずっと聴いていたのはジャケットがザラザラしていたからなんですよね(笑)。いわゆるマット・コーティングの、ザラッとして匂いがする感触。そしたら両方とも同じ匂いがしたの(笑)。馬鹿馬鹿しいんだけどそれが重要だった。キャロル・キングと荒井由実がシンメトリーになって、これは同じ種族なんじゃないかと思ったんです。キャロル・キングって不思議な声で、ものすごくフェイクして歌っているのに全然うるさくないんですよね。ユーミンさんもシャウトしてるのにうるさくないというか凛と響く。はっぴいえんどを知る前に、そういうものを既によく聴いていたから、僕は大体そこで出来上がっちゃってたと思うんですよ。

「 マイケル・フランクス / アート・オブ・ティー 」
  - ロックと違う佇まいと、プロデューサー:トミー・リピューマ気になった -

高校時代にソフト&メロウっていうムーブメントがあって、シンガー・ソングライターがニューヨーク的な響きをやり出した。それでネッド・ドヒニーの『ハード・キャンディ』とかを聴き始めるわけですよね。その中で、またなんだけど、ジャケットがモノクロなんだなあ(笑)。中ジャケのミュージシャンのポートレイトもカッコよくて、これにもシビれた。何か佇まいがロックと違うなって。そこでクルセイダーズを母体とするプロダクション、トミー・リピューマやアル・シュミット、ストリングス・アレンジのニック・デカロの存在に気づいていく。ここからブラジルとかにも行ったけど、僕はアントニオ・カルロス・ジョビンより先にジョアン・ジルベルトを聴いちゃっていたの。トミー・リピューマが絡んでいた『イマージュの部屋』ってアルバム。ここでプロデューサーって存在に気づくんですよ。何やってんだか知らないけれど、やっぱりプロデューサーっていう、その人が持っている響きっていうのがある。同時にプロデュースド・バイ細野晴臣ってものにも気づいたりした。

「 細野晴臣 / 泰安洋行 」+「 ヴァン・ダイク・パークス / ディスカヴァー・アメリカ 」
  - この一対のレコードを聴いたら、普通の音楽家にはなれなくなった? -

僕、素直に育ってきたんで(笑)、最初に『泰安洋行』を聴いた時は、ちょっとどうかな?っていう感じだったんですよ。『HOSONO HOUSE』は知っていましたが、はっぴいえんどの人のソロとして聴いていたので、どうもハリー・ホソノと結びつかない。ただ、朝まで何度も聴いていると、だんだん慣れてくるの。明け方になっていいなって思って、次の日に『地平線の階段』という、このレコードを紐解く本があることを知り、すぐ手に入れて読みながらこれを聴いたのね。ニューオーリンズ、ガンボ、アラン・トゥーサン、ホーギー・カーマイケル等々、そこにはどんな関係が?って遊びに気づいた。だからビートルズまでは紐解けるんだけど、ここを紐解くには相当な知識が必要だし、しかも第三世界の音楽までいっているから、辿り着けないのね。子供としては最高に面白いおもちゃで、なめ回せばどんどん出てくる。そしてその鍵になっているアルバムの『ディスカヴァー・アメリカ』を聴くことが出来て、ズバッと判った。というか両方とも判った。で、ここでトラウマが出来ちゃったから、もう普通の音楽家には、なれないなと思ったんですよ(笑)。だから趣味で音楽をやることにしようと思って。歌もなくていいから、弦楽器でこういうようなものをやろうってワールド・スタンダードのフォーマットを作りました。

「 ペンギン・カフェ・オーケストラ / ミュージック・フロム・ザ・ペンギン・カフェ 」
  - ワールド・スタンダードの引き金になった作品 -

僕は80年代になってから聴いたんだけど、出たのは70年代半ば。イギリスのトラッドをベースに、サイモン・ジェフスが弦楽器でいろんなものをミクスチャーしていくような音楽をやっていて、そこにブライアン・イーノが関係していくという、かなり罪深いアルバムだと思います。この前で学習が出来ていたから紐解けたんですよね。ミニマルとかアフリカの音楽であるとか、そういうものが今度はバイブルやネタがなくても、これを聴き続けることで僕はもう判っていったから、そこで具体的に自分でやり出していったという。ウクレレを弾いて作曲を始めて、ここからスタートしていきます。

ニーノ・ロータ
/道(オリジナル・サウンドトラック)
<輸入盤 Legend CD7>
ビートルズ
/ビートルズ(ホワイト・アルバム)
東芝EMI TOCP-51119/20
サイモン&ガーファンクル
/ブックエンド
ソニーミュージックダイレクト MHCP-2066
荒井由実
/ひこうき雲
東芝EMI TOCT-10711
マイケル・フランクス
/アート・オブ・ティー
WEAジャパン WPCR-2542
細野晴臣
/泰安洋行
日本クラウン CRCP-137
ヴァン・ダイク・パークス
/ディスカヴァー・アメリカ
WEAジャパン WPCR-1442
ペンギン・カフェ・オーケストラ
/ミュージック・フロム・ザ・ペンギン・カフェ
ヴァージン・ジャパン VJD-28041

  mints barでは、時間の経つのも忘れて、音楽談義が続いています。
     (注)グッド・タイム・ミュージックの流れる店、mints barは架空の店です。


news!!
  レコミンツにて、下記のワールド・スタンダード 鈴木惣一朗関連のCDをお買い上げの方に、
  オリジナル特典(サイン入り特製ポストカード 先着20枚)をプレゼントいたします!
  数量限定の為、お早めにお買い求め下さい。
○鈴木惣一朗プロデュース
Apple of her eyeりんごの子守唄(赤盤)
VACM-1270
 1. Here Comes The Sun/畠山美由紀
 2. Across The Universe/Chie
 3. Julia/イノトモ
 4. Yesterday/アン・サリー
 5. I Will/原田郁子(クラムボン)
 6. Sun King/noon
 7. In My Life -インストゥルメンタル
 8. Ask Me Why/ボファーナ
 9. Dear Prudence
    /中納良恵(エゴ・ラッピン)
 10. Honey Pie/首里フジコ
 11. Because/湯川潮音
 12. I'll Follow The Sun
    -インストゥルメンタル
 13. Goodnight/アン・サリー
○鈴木惣一朗プロデュース
Apple of his eye りんごの子守唄(青盤)
 VACM-1296
 1. Blackbird/ハナレグミ
 2. If I Need Someone/Caravan
 3. All Together Now
    /小池龍平(Hands of Creation)
 4. If I Fell/Saigenji
 5. Nowegian Wood
    /青柳拓次
    (Kama Aina・Little Creatures)
 6. I’m So Tired/曽我部恵一
 7. Here There and Everywhere
    -インストゥルメンタル
 8. Two Of Us/蔡 忠浩(bonobos)
 9. Mother Nature’s Sun/おおはた雄一
 10. Free As A Bird/キセル
 11. She’s Leaving Home
    -インストゥルメンタル
 12. Goodnight/細野晴臣
○ワールド・スタンダード
/ダブルハピネス
《Very Best of NON-STANDARD》
○ワールド・スタンダード
/ジ・アイル
○ワールド・スタンダード
/音楽列車
○ワールド・スタンダード
/音楽列車 2
  
鈴木惣一朗さんのオーダー
ギネス ビール


撮影協力:ラウンジバー瑠璃
東京都中野区新井1-7-1
カーサトモエビル1階

第五夜  おわり



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