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| 長門: |
今回のアルバムは地元・湘南の音楽仲間と一緒に作ったということで。ドラマーの上原“ユカリ”裕も近所に住んでたんだね。 |
| 眞中: |
そうなんですよ。僕の家から歩いて10分くらいのところに住んでいます。 |
| 長門: |
へえ、そんなに近いんだ。 |
| 眞中: |
はい、本当にご近所さんで。自転車でお互い行き来するぐらいの。 |
| 長門: |
ユカリって、どうしても福生っていうイメージがあるんだけどね(笑)。まあ35年以上前のことだけど。で、もうひとり、林立夫もゲスト参加していて。 |
| 眞中: |
はい。立夫さんも車ですぐ行けるようなところに住んでいて。お二人とは普段から、よく一緒に演奏をさせてもらっています。 |
| 長門: |
日本のドラマーで僕が一番好きなふたりが揃って参加してるなんて、なんて贅沢な!でもそのふたりも湘南の音楽仲間だってところが凄い。 |
| 眞中: |
お二人とも凄いプレイヤーですよね。最近、とある取材で、“なんでユカリさんと立夫さんなんですか?”って質問されたことがあったんですけど、70年代の日本のロックが好きだとかそういうことじゃなくて、本当にあの人たちにしかできない演奏があるんですよね。だからネームバリューとか一切関係なく一緒にやりたいなと思うんです。立夫さんみたいなドラムを叩ける人って絶対にいないし。ましてやユカリさんに関しては、今回のレコーディングで使ったドラム・セットって、すごいことになってるんですよ(笑)。“ハイハットは一切使わないでください”とか、実は僕らが注文したっていうのもあるんですけど。両端にジャンベがあって、べードラはあるんですけど、それもフロア・タムだったり。手でスネアを叩くようなことも多いですし。これを他の誰かにやってって言っても絶対にできないと思うんですよ(笑)。 |
| 長門: |
あの二人のドラム・セットって、いわゆるレギュラーのセットと全然違うもんね。 |
| 眞中: |
全然違いますね。 |
| 長門: |
それでこれだけのニュアンスを出せるっていうのはすごいことだよね。 |
| 眞中: |
あと、立夫さんにしてもユカリさんにしても、歌に寄り添ったドラム・プレイをしてくれるんですね。ミックスの段階で、ドラムの音だけを聴くとすごくシンプルなんだけど、それが歌に合わさると、ものすごいマジックが生まれるんですよ。立夫さんなんか実際、歌いながら叩いているし(笑)。 |
| 長門: |
林立夫とユカリ以外のミュージシャンは今回、初めて一緒にやった人たちなのかな? |
| 眞中: |
高井亮士くんはI-depってバンドで、普段はクラブ・サウンドっぽいことをやってるんですけど、その一方、フラメンコ・ギタリストの沖仁さんだとか、いろんなセッションにひっぱりだこのべーシストで。キーボードの伊藤隆博さんは、ゆずのバンマスを務めています。今回のアルバムは、その4人がメインですね。 |
| 長門: |
レコーディングで一番こだわったところは? |
| 眞中: |
生々しい感じをなるべく出したいなと思ったんです。だからレコーディングではクリックを一切使っていないんです。クリックに操られているような感覚というか、一定の速さの中で演奏するということに、僕はどうしても無理を感じてしまうんですよ。普通に演奏していれば、どうしても(リズムを)溜めたくなったりすることもありますし。また、メンバーのみなさんには可能な限り譜面を見ないで演奏してくださいってお願いしたんです(笑)。演奏のイメージも、“Aメロは激しめで、Bメロは静かな感じでお願いします”とか大枠だけ伝えて。すごく面白いんですけど、そういうスタイルでレコーディングすると、テイクごとに全部、サウンド・アプローチが違うんですよ。 |
| 長門: |
テイクはあんまり多く録らなかったんだ。 |
| 眞中: |
そうですね。それぞれの楽曲で3テイク録ったかどうか。中には「Bonjour Express」とか、1テイクだけで終わった曲もありますし。ブースで分かれていて、それぞれの顔は見えないんだけど、耳の中では全員繋がっている感じというか。 |
| 長門: |
みんなで顔を合わせながら演奏したような雰囲気があるよね。 |
| 眞中: |
まさにそれを目指していたんです。 |
| 除川: |
全体的に“間”みたいなところを大切にしている印象を受けました。 |
| 眞中: |
そうですね。とにかく、今は他のミュージシャン全般が弾きすぎだと思うんで、メンバーにも“音数を少なくしよう”とは言っていましたね。だからレコーディングの時も、“今のプレイどう?”とかじゃなくて、“今、弾きすぎてなかった?”って(笑)。 |
| 長門: |
湘南というと海のイメージが強いんだけど、今回のアルバムからは、ウッドストック周辺のアーティストが残してきたアーシーなんだけど、洗練された作風と、どこか共通する雰囲気を感じたんだよね。 |
| 眞中: |
鎌倉って海のイメージがすごく強いと思うんですけど、実はほとんど山なんですね。三方を山に囲まれていますし。尾根を歩く道があるんですけど、そういうところを歩いていると気持ち良いですよ。横浜の方からも繋がっていますし。金沢文庫から鎌倉まで山の尾根づたいに歩いたこともありますよ。鎌倉という土地に対して、個人的には、海よりも山のイメージのほうが僕は強いんですね。 |
| 長門: |
たとえば「浪子不動」という地元の地名をタイトルにした曲があったり、ハミングキッチンには自分たちが住んでいる土地に、しっかりと根ざした音楽を作っているイメージがあるんだよね。 |
| 眞中: |
湘南地区の人たちって、田舎者なのに自分たちのことを田舎者だと自覚してないというか。逆に“俺たち東京なんて大嫌いだぜ”っていうところを誇りにしてるようなところがあるんですよ。僕も含めて(笑)。そうすると自分たちの世界だけで生活できるんですよね。憧れみたいなものも特にないし、流行とはまったく関係ない世界に生きられるんです。だから、湘南のミュージシャンって、みんな独自の音楽をやってるんですよ。一般的には、湘南=ハワイアンみたいなイメージがあると思うんですけど、僕の仲間でハワイアン・ミュージックをやっている人って実は誰もいないんです(笑)。だから鎌倉って、ものすごく面白い土地だと思います。そういう独特の雰囲気も、このアルバムに出したかったんですよね。 |
| 長門: |
曲を書く上で一番大事にしているのはどういうところなのかな? |
| 眞中: |
僕らはメロディが好きなんで、あくまでもハミングキッチンではポップスを追及したいなと思っています。変にマニアックなことをやりたいとも思わないし、鼻歌で歌っただけでも、“いい曲だな”と思ってもらえるような曲をいつも目指しています。たとえば、「パノラマの丘」という曲を映画(『グーグーだって猫である』)の中で使って戴いたんですけど、実はあの曲ってコードを分解していくと、ものすごく変なコード進行なんですよ。でもメロディはヘンテコなところにいかないように心掛けて。そういう美学を求めてるところはありますね。 |
| イシイ: |
佐藤竹善さんからコメントを頂いたんですが、その時、ハミングキッチンのサウンドを“温故音新”って言ってもらって。よく、“懐かしいサウンドだね”って言われるんですけど、私たちは昔のサウンドをそのままやろうとか、そういうことは全然思っていなくて。むしろ新しいサウンドを常に求めていたいなと思っているんです。 |
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