mints magazeine 伊藤銀次のBEAT GOES ON  

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#020 2007_5月号
 先日「徹子の部屋」にミシェル・ルグランが出演していた。和食では天麩羅が好きらしく、なのになぜか「トンプラ」と発音していたのには笑った。なんと今年が彼の生誕75周年になるそうだ。僕が洋楽を聴き始めた1964年頃、洋楽はポピュラー・ミュージックなんて呼ばれていて、アメリカン・ポップスやカンツォーネ、フレンチ・ポップス、映画の主題歌などが主流で、ロックはまだ新参者だった。友達にビートルズを教えてもらった中学2年生の僕は、ラジオばかり聴いていて、小島正夫氏の「9500万人のポピュラー・リクエスト」(当時の日本の人口はまだ一億に達していなかったのだ)とか、大阪だったので、ラジオ関西の、摩耶朔之助とマリア・リグレッティがやってた電話リクエストなどに釘付けで音楽情報をやっきになって仕入れていた。その頃、よく流れていたのが、ミシェル・ルグラン作曲の「シェルブールの雨傘」だった。なんとも言えない美しい旋律と、ドヌーヴの美しさに惹かれ、映画まで観に行ったが、本当に彼の作品にノックアウトされたのは、続く「ロシュフォールの恋人たち」だった。映画もおしゃれで、DVD化されたときはもちろん即、手に入れた。僕のマイナー調の曲にほのかなだが、彼の影響があると思う。
 今月はそんな彼の生誕75周年を祝って、ミシェル・ルグラン特集だ。(1)は、前出の、彼の名を世界的に有名にしたおなじみ「シェルブールの雨傘」のサントラ。生誕75周年を記念して今年「完全版」として、再発された。彼を語る時、やはり落とせない一枚だろう。だが、先ほどもちらっとふれたように、僕が勝手に彼の最高傑作だと思っているのはこの「シェルブール」ではなく、1967年に発表された(2)、「ロシュフォールの恋人たち」のサントラなのだ。ドラマを織り成すそれぞれのカップル達にテーマ曲があるのだが、どれもこれも胸がキュンとくる、とびきりのメロディ揃いで必携。映画音楽家として高名な彼だが、もう一つの顔にモダン・ジャズのピアニスト&編曲家の側面もある。(3)はそんな彼が、1958年に新婚旅行を兼ねてアメリカを訪れた時、ニューヨークでマイルス・デイヴィスやコルトレーン、ビル・エヴァンスと等と録音した「ルグラン・ジャズ」に、1962年の別のニューヨーク録音をプラスしたもの。彼の音楽のバックボーンがジャズだということに気付かされ、さらに理解の深まる粋な一枚だ。

(1)シェルブールの雨傘
SONY SICP-1367〜8
(2)ロシュフォールの恋人たち
POLYGRAM 834 140-2
<輸入盤>
(3)ルグラン・ジャズ
UNIVERSAL UCCU-5087

【伊藤銀次プロフィール】
1950年大阪府生まれ。1972年、バンド「ごまのはえ」でデビュー。
その後「ココナツ・バンク」に改名し、大瀧詠一氏プロデュースのもと活動するが「はっっぴいえんど」解散コンサートの翌日に解散。
解散後は、「シュガーベイブ」「ナイアガラトライアングルVol.1」への参加を経て、ソロ活動を開始。
1980年、佐野元春との出会いがきっかけとなりプロデューサー・アレンジャーとしての活動も始め、ウルフルズなど数多くのヒット・ソングを手掛ける。2003年、「ココナツ・バンク」を再結成しミニアルバム「ココナツ・バンク」発表。
2005年、朋友である杉真理と共にバンドを結成しライブを行うなど、表舞台でも精力的に活動中。

伊藤銀次ファンサイト[BABY BLUE]
http://sound.jp/itoginji/




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