僕がジョン・レヴェンサールの名前を初めて目にし、興味を持つことになったきっかけは、ショーン・コルヴィンの『A Few Small Repairs』をジャケ買いした時だ。家に帰ってほとんどろくな期待もせず聴いてみたら、これがなかなか予想以上によかった。ショーンのどこか肩の力の抜けた鼻歌風の歌ももちろんすてきなのだが、プロデューサーのレヴェンサールの音処理のセンスに惹かれてしまった。ちらほらとビートルズの匂いが見えかくれするのは、彼がギタリストであるせいなのか、ギターの処理も決して出しゃばらず、どこかジョニー・マーや鈴木茂といった「たたずまい」があるところも気にいった理由だ。僕は、80年代以降のルーツ・ミュージック系プロデューサーでは、T.ボーン・バーネットとミッチェル・フルームが双璧で好きなのだが、ジョンはひさびさに出て来た、この二人の後継者のように僕には感じられたのである。(そういえば、T.ボーン・バーネットは奥さんのサム・フィリップスと組み、ミッチェル・フルームは今は別れちゃったけど、当時奥さんだったスザンヌ・ヴェガとというように、女性シンガーと男プロデューサーという組み合わせでは共通点あり。)
そこでいろいろ調べてみると、ロドニー・クロウウェルや、なんと昔すごい好きだったマーク・コーンの「Walking In Memphis」の入ったアルバムにギタリストとして参加していたり、とっくの昔に彼は僕のシーンにちらほらと姿を現わしていたことがわかって、ますます親近感が涌いたのだ。僕が入手したCDで最も彼のキャリアで若いものは、たぶんドン・ウォズ・プロデュースのウィリー・ネルソン『Across The Borderline』(すごくヤングな彼のフォトが載ってます)ではないかと思うが、もし、もっと若い時期の彼の関係作品があったら教えてください。今月はそんな彼のポップ・センスが光るCDを3枚紹介したいと思う。まず(1)は冒頭で紹介した『A Few Small Repair』。1曲目の「Sunny Came Home」と10曲目の「Suicide Alley」は必聴!(2)はそれに続くCDだが、さらにレヴェンサールらしいソング・ライティングと音処理が光る秀作。(3)は「永遠のモータウン」で注目を浴びたジョーン・オズボーンを彼がプロデュースした作品。R&Bの名曲のカヴァーが中心で、そのせいか彼の作品の中では、一番本領を発揮しているようで、興味深いCDだ。