mints magazeine 伊藤銀次のBEAT GOES ON  

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#015 2006_12月号
 ココナツ・バンクの再結成がきっかけで、僕は長く封印していた禁断のルーツ・ミ ュージックの扉を開けてしまった。ここ最近、洋楽でこれほどと思えるものに出会えなかった事もあるが、それにしてもひさびさに聴き直したクラレンス・ホワイトやアルバート・リーのギター・プレイの素晴らしさは、さらに僕をルーツ・ミュージックの奥地へと駆り立てのである。気付いたら、いつのまにかブルーグラスやアイリッシュやスコティッシュの音楽の深淵にまで辿り着いていた。特にブルーグラスに関しては、若い頃ちっとも魅力を感じることがなかったのに、いつのまにかジェリー・ダグラス、ティム・オブライエン、トニー・ライスなどの現代ブルーグラスにはまってしまった。僕が単に無知だっただけなのだが、いろんなジャンルでミクスチャーの現象が起こってきたように、当然、この音楽もいろいろな要素を吸収して現代に適応していたのだ。その中でも特に僕を惹き付けたのが、今回紹介するニッケル・クリークだ。

 2002年にニッケル・クリークがデビューした時、なんとショーン(ギター)と、サラ(フィドル)のワトキンス兄妹は24才と20才、そして、天才マンドリン奏者クリス・シーリーも20才という、末恐ろしやの超ヤンガー達だった。しかもいきなり、なんとそのファースト・アルバムを50万枚以上売ったという。それが(1)。1曲目とかのインストを聴けばわかるが、とにかく若いくせにバカみたいにうまいのだが、2曲目や3曲目などの歌ものはとても繊細でセンスを感じさせてグッド。とかく日本人には少し大雑把な感じがする凡百のアメリカン・ミュージックと違って、爽やかでみずみずしさに溢れている。当り前のように全員が魅力的なヴォーカリストだというのも強 みだ。(2)は、セカンドの『This Side』。1枚目同様、プロデュースはブルーグラス界の新たな女王、アリソン・クラウス。そのせいか前作の雰囲気を踏襲しているが、とにかく曲が良くてたまらない名盤。(3)は、今までの2枚と少し質感が変わった。プロデューサーにスマッシュ・マウスを手掛けたエリック・ヴァレンタインを起用、オルタナ・ブルーグラスともいえる意欲作で、クリスとショーンの最近のソロ作品と共に行く末が楽しみだ。最後に、いくつかのブルーグラス・フェスのDVDで彼等の貴重な演奏を見れるのだが、のっぽのクリスとちびっこのショーンがまるで爆笑問題の太田と田中のようでおかしい。
(1)Nickel Creek
/Nickel Creek
Sugahill 3909
<輸入盤>
(2)Nickel Creek
/This Side
Sugarhill 1941
<輸入盤>
(3)Nickel Creek
/Why Should The Fire Die?
Sugarhill 3990
<輸入盤>

【伊藤銀次プロフィール】
1950年大阪府生まれ。1972年、バンド「ごまのはえ」でデビュー。
その後「ココナツ・バンク」に改名し、大瀧詠一氏プロデュースのもと活動するが「はっっぴいえんど」解散コンサートの翌日に解散。
解散後は、「シュガーベイブ」「ナイアガラトライアングルVol.1」への参加を経て、ソロ活動を開始。
1980年、佐野元春との出会いがきっかけとなりプロデューサー・アレンジャーとしての活動も始め、ウルフルズなど数多くのヒット・ソングを手掛ける。2003年、「ココナツ・バンク」を再結成しミニアルバム「ココナツ・バンク」発表。
2005年、朋友である杉真理と共にバンドを結成しライブを行うなど、表舞台でも精力的に活動中。

伊藤銀次ファンサイト[BABY BLUE]
http://sound.jp/itoginji/




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