期待はずれに終わったトリノ五輪でただひとり金メダルに輝いた荒川静香さん。フリーでの演技は本当に素晴らしくてただ感動、彼女の一挙手一投足にすっかり釘付けになっていたのだが、なぜか僕は同時にバックに流れている曲のメロディにも惹き付けられていたのだ。どこかで聞いたメロディはロイ・オービソンの「A Love So
Beautiful」じゃないか!司会者はプッチーニ作曲の「トゥーランドット」の中の「だれも寝てはならぬ」だと説明しているが、あいにくオペラにうとい僕は聞いたことがない。さっそく1989年、英ヴァージン・レコーズからリリースされたロイ・オービソンのCD『Mystery
Girl』を引っ張り出して4曲目を聞いてみた。まちがいない!そっくりだ!プロデューサーはジェフ・リン、そして作曲は彼とロイ・オービソン。
なるほど、クラシックとロックの融合、ロック・オペラの推進者、ELOの中心人物ジェフ・リンが絡んでいるのなら何となく理解できる出来事だ。プロコル・ハルムの「青い影」がバッハの曲に原典があるように、この曲は明らかに「トウーランドット」のメロを元にして作られた曲だったのである。てなわけで、ひょんな事から荒川静香とジェフ・リンがつながったところで、今月はそのジェフ・リンがらみの3枚で行ってみようと思う。
まずその「トゥーランドット」にインスパイアされた「A Love So Beautiful」が入ってる(1)。ジェフ以外にもT・ボーン・バーネットなど何人かのプロデューサーが関わっているが、僕はジェフ関係の曲が好きだ。特に1曲目の「You
Got It」はロイのいい所をいかした佳曲。だが、やっぱりここは例の「A Love So Beautiful」と「トゥーランドット」の聞き比べをしてほしいものだ。(2)はおなじみジェフが70年代に大ブレイクさせたELOの'81年のアルバム『Time』。ELOには傑作が多いので、どのアルバムを選ぶか迷う所だが、個人的に大好きな「Twilight」の入ったこのアルバムを選んだ。もちろん他のアルバムもグッド!(3)はジェフの貴重なソロ・アルバム。いきなり1曲目からコンプレッサーの効いたジェフ・リン・サウンド。個人的には7曲目の「Don't
Say Goodbye」がお薦め。ビートルズのアンソロジーの時に証明したように、ここでもひとりビートルズ炸裂だ。今月は、荒川静香さんの演技から、予想もしない欧州的懐の深さを知ることになった実に僕にとっても実りあるトリノ五輪ではあった。