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#005 2006_2月号












 ついにシュガー・ベイブの『ソングス』の30th Anniversary盤が発売された。今回は、記念盤ということもあってか、大瀧師匠からコメントを求められ、ライナー用にちょこっと文章を書いたが、そこでふれているように、確かにあの頃、僕はジミー・ウェッブが大好きだった。特に詩がね。うん、かなり影響を受けたよ。たとえば「恋はフェニックス」の主人公が愛人をおいて独り旅に出て行く情景は、ナイアガラ・トライアングルVOL.1の「遅すぎた別れ」だし、シュガー・ベイブの「過ぎ去りし日々」は、ブルックリン・ブリッジの「Worst That Could Happen」やジミー・ウェッブ の「I Keep It Hid」あたりの影響が色濃く出ているかも。バカラックやトニー・ハッチはほとんど曲だけで詩を書かないが、ジミーは彼等同様、作編曲をこなし、音楽的にも素晴らしいのは言うまでもないが、音符人間にしては珍しく詩を書き、しかもこれがなかなかリリカルでナイーヴな作品が多くて、その異才ぶりに驚かされるのだ。前者二人が典型的な職人作家ならば、ジミーはその後70年代に大挙して現れるシンガー・ソングライターのはしりだったのかもしれない。今月はそのジミー関連から3枚。
 まずは数多い彼のソロ・アルバムの中から1996年発表の『Ten Easy Pieces』(1)。「恋はフェニックス」、「ウィチタ・ラインマン」、「マッカーサー・パーク」など、彼が60年代に他人に書いてヒットさせた曲を、彼自身のピアノによる弾き語りで聴かせるセルフ・カヴァー・アルバムだ。オリジナルと比べると、華やかさはないものの、その飾り気のない唱法がしみることしみること!何度聴いても飽きのこない名盤だ。(2)は、名曲「マッカーサー・パーク」のオリジナルが聴けるリチャード・ハリスのファースト。ドナ・サマーのヒットでおなじみだが、どっこいこちらがオリジナル。シェイクスピア俳優のリチャードの渋い枯れた歌と、ジミーの才気溢れるアレンジが感動的だ。時代を反映したシュールな詩が、さらに曲を個性的にしていて、ジミーの作品の中でも傑作中の傑作!(3)は、ジミーの「The Moon Is A Harsh Mistress」の、インストによるカヴァーが聴ける名盤。インストとは思えない歌心は、まさにパット・メセニーの真骨頂。ジミーと同じく米中西部出身アーティストの音楽的良心を感じさせる僕の愛聴盤だ。もっとジミーを知りたい人は、グレン・キャンベル、フィフス・ディメンションなどのベスト物を、ぜひ辞書を片手に楽しんでみてほしい。
(1)JIMMY WEBB
/TEN EASY PIECES
ANGEL 52826
〈輸入盤〉
(2)RICHARD HARRIS
/A TRAMP SHINING
MCA MCAD-10780
〈輸入盤〉
(3)CHARIE HADEN & PAT METHENY
/BEYOND THE MISSOURI SKY
POLYGRAM 53710
〈輸入盤〉

【伊藤銀次プロフィール】
1950年大阪府生まれ。1972年、バンド「ごまのはえ」でデビュー。
その後「ココナツ・バンク」に改名し、大瀧詠一氏プロデュースのもと活動するが「はっっぴいえんど」解散コンサートの翌日に解散。
解散後は、「シュガーベイブ」「ナイアガラトライアングルVol.1」への参加を経て、ソロ活動を開始。
1980年、佐野元春との出会いがきっかけとなりプロデューサー・アレンジャーとしての活動も始め、ウルフルズなど数多くのヒット・ソングを手掛ける。2003年、「ココナツ・バンク」を再結成しミニアルバム「ココナツ・バンク」発表。
2005年、朋友である杉真理と共にバンドを結成しライブを行うなど、表舞台でも精力的に活動中。

伊藤銀次ファンサイト[BABY BLUE]
http://sound.jp/itoginji/




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